優れたAIベンチャー企業の研究テーマ6件を採択 -NEDO-

NEDOは、AIの社会実装を進めることを目的に、優れたAIベンチャー企業の研究テーマ6件を採択しました。全国30件の応募の中から、コンテスト方式で研究テーマを選定しました。各社は最大2年間の研究開発を実施します。NEDOはベンチャー企業支援を通じて、政府の「人工知能技術戦略」に基づき、AIの重点分野への社会実装を促進し、新たな需要の創出や既存分野との融合による産業競争力の強化を目指します。

  • (1)生産性、(2)健康、医療・介護、各分野最優秀賞を受賞した研究テーマのイメージ
    図1 (1)生産性、(2)健康、医療・介護、各分野最優秀賞を受賞した研究テーマのイメージ
    (詳細は3.各採択テーマ概要)

1.概要

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、政府の「人工知能技術戦略※1」の重点3分野((1)生産性、(2)健康、医療・介護、(3)空間の移動)におけるAI社会実装を加速し、AIベンチャーの市場参入を促進するため、ベンチャー企業が参入しやすい公募事業の実施に取り組んでいます。

昨年度に引き続き、非常に技術開発のスピードが速いAI技術の分野において、ベンチャー企業が有する革新的・挑戦的な研究テーマを発掘して支援することを目的に、幅広い応募を受け付けるため、コンテスト方式による公募事業※2を実施しました。まず、ベンチャー企業が応募しやすいように事務負担を軽減するため、従来よりも簡素なエントリーシートで応募を受け付け、審査の進捗に合わせて必要な追加書類を求めました。そして、ベンチャー企業のサービスや製品、試作品のデモンストレーションによるパフォーマンス審査を行い、AI技術の社会実装の実現可能性を多角的に評価しました。

その結果、全国30件の応募の中から、(1)生産性分野から最優秀賞1件と審査員特別賞3件、(2)健康、医療・介護分野から最優秀賞1件と審査員特別賞1件の合計6テーマを採択しました。

採択が決定した各委託予定先ベンチャー企業は、2018~2019年度までの最大2年間の研究開発を実施します。NEDOは、ベンチャー企業支援を通じてAIの社会実装を促進し、新たな需要の創出や既存分野との融合による産業競争力の強化を目指します。

2.採択テーマおよび委託予定先一覧

生産性分野 最優秀賞

採択テーマ名 委託予定先 委託費上限額
食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムの研究開発 株式会社DeepX 45百万円

健康、医療・介護分野 最優秀賞

採択テーマ名 委託予定先 委託費上限額
AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化の調査研究 PuREC株式会社 45百万円
国立大学法人名古屋大学

空間の移動分野 最優秀賞

該当無し

審査員特別賞

分野 採択テーマ名 委託予定先 委託費上限額
健康、医療・介護 機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索 株式会社MICIN 30百万円
生産性 AI、クラウド、センサ、画像処理を活用したミドルウェア汎用ロボットコントローラの調査研究 IDECファクトリーソリューションズ株式会社 20百万円
Rapyuta Robotics株式会社
生産性 MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索に関する調査研究 MI-6株式会社 20百万円
生産性 AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム 株式会社ロックガレッジ 20百万円

3.各採択テーマ概要

生産性分野 最優秀賞

「食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムの研究開発」
株式会社DeepX

ディープラーニングによる画像認識や強化学習を活用し、バットに盛られた「非定型」で「柔らかい」大量の食品の山から「指定量」を産業用ロボットでピッキングし、弁当等の容器に移すアルゴリズムの研究開発を行う。

  •  「食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムの研究開発」を表した図
    図2 「食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムの研究開発」のイメージ

健康、医療・介護分野 最優秀賞

「AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化の調査研究」
PuREC株式会社、国立大学法人名古屋大学

画像解析と先端AI技術を融合することで、全く新しい実用的な再生医療用細胞の品質検査システムを開発し、再生医療用細胞製造現場における安定性と効率の向上とコストダウンを実現する。

  • 「AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化の調査研究」を表した図
    図3 「AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化の調査研究」のイメージ

審査員特別賞

「機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索」
株式会社MICIN

脳梗塞が原因で発症する認知症について、人間ドックなどで得られる医療データとの因果関係をAIで解析する。「認知症予備軍」を早期に発見することで、予防や根治を可能にする。

  •  「機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索」を表した図
    図4 「機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索」のイメージ

審査員特別賞

「AI、クラウド、センサ、画像処理を活用したミドルウェア汎用ロボットコントローラの調査研究」
IDECファクトリーソリューションズ株式会社、Rapyuta Robotics株式会社

スマートフォンを操作するような簡単な操作感覚で、多種多様な産業用ロボット、サービスロボットの動作を実現させるプラットフォーム技術を開発する。

  •  「AI、クラウド、センサ、画像処理を活用したミドルウェア汎用ロボットコントローラの調査研究」を表した図
    図5 「AI、クラウド、センサ、画像処理を活用したミドルウェア汎用ロボットコントローラの調査研究」のイメージ

審査員特別賞

「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索に関する調査研究」
MI-6株式会社

MI(マテリアルズインフォマティクス)を活用した材料探索において、AIとシミュレーションによる探索結果をクラウドソーシングで評価し、更に評価結果を学習することで探索制度を向上する手法を確立する。

  •  「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索に関する調査研究」を表した図
    図6 「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索に関する調査研究」のイメージ

審査員特別賞

「AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム」
株式会社ロックガレッジ

複数機のドローンにより広範囲の遭難者捜索を行い、同時にAIとクラウドソーシングを組み合わせることで、高い捜索効率と検知精度を実現する自動捜索・自動検知システムを開発する。

  • 「AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム」を表した図
    図7 「AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム」のイメージ

4.審査委員

「次世代ロボット中核技術開発/次世代人工知能技術分野」(調査研究)
採択審査委員一覧(五十音順、敬称略)

区分 氏名 所属 役職
委員長 川上 登福 株式会社経営共創基盤 パートナー
取締役 マネージングディレクター
株式会社IGPIビジネスアナリティクス&
インテリジェンス
代表取締役 CEO
委員 大沢 英一 公立大学法人公立はこだて未来大学 システム情報科学部 複雑系知能学科
教授
委員 佐藤 真希子 株式会社iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナー
委員 進藤 智則 株式会社日経BP 日経Robotics 編集長
委員 馬場 雪乃 国立大学法人筑波大学 システム情報系 准教授

【注釈】

※1 人工知能技術戦略
2016年4月に人工知能技術戦略会議が創設され、研究連携会議と産業連携会議が設置されました。研究連携会議は3省(総務省、文部科学省、経済産業省)が行う研究開発での連携の具体化を進めました。産業連携会議は3省が行う研究開発その他の事業の社会実装に向けて(1)産業化ロードマップの策定、(2)人材育成、(3)データ整備・提供およびオープンツール、(4)ベンチャー育成・金融連携などの施策等についてそれぞれ調査・検討を行いました。その結果である「人工知能技術戦略」が2017年3月31日に公表されました。
人工知能技術戦略をはじめとする各施策について、NEDO AIポータルで公開しています。

掲載元:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
URL:http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101005.html

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