【丸の内AI倶楽部コラム】CDOの存在がAIを攻めの戦略へつなげる ~5年後先を見据えた、AI+人事戦略~

 CDO(Chief Digital OfficerまたはChief Data Officer)という役職をご存知でしょうか? この役職は、欧州などで戦略的にデジタル情報を活用するために生まれた、最近注目の役職です。CTO(chief technical officer または chief technology officer)やCIO(Chief Information Officer)との違いは、技術統括的な役割ではなく、業務やデータを把握した上で、デジタル戦略策定などの未来に向けた計画を提言するのを主な役割としている点です。CTOやCIOよりもビジネスよりの役職であると思ってください。

 欧州といえば、インダストリー4.0が有名です。インダストリー4.0はIoTやAIを使い、主に工場において柔軟な多品種生産や、効率的で高稼働な自動の生産ラインを実現するためのコンセプトですね。IoTやAIは人間による操作を減らし、コンピュータによる自主的な判断で、業務プロセスの柔軟な変更や異常の早期発見を行うことを目指しています。そのためには、モノとヒト、モノとモノとがITにおいて繋がり、対話しながら全体最適化が行われる世界が築かれる必要があります。
 デジタル端末は生産の現場だけでなく、住宅、車、時計、携帯といった我々が認識しているすべてのモノに広がっています。世界中のありとあらゆる場所がセンシング端末によって満たしていくことで、今この時では想像もされていなかったサービスが生み出される可能性があります。
 こうした技術革新は、今までのような持続的なイノベーションの先にやってくるものではなく、AIを含めた破壊的なイノベーションの襲来の先に実現される可能性が高いと言われています。そうであれば、今はエクセレント・カンパニーと言われている企業が、5年から10年後にはその地位を新しいスタートアップ企業に譲っている可能性もあるのです。
 javaの創業者の一人が、「javaは小さな人工衛星のようなアプリケーションたちがネットワークでお互いにつながっている未来を夢見ていたのに……」のようなコメントを残していたように記憶していますが(出典先が見つからなくなりました、すいません)、何十年後にそうした未来が今、訪れようとしていると思うと、考え深いものがあります。

 こうしたやがて訪れる劇的な変化の前では、となりの企業をマネするだけであったり、外部の人間の言う通りにしているだけでは針路を誤る可能性があります。必要なのは自分たちの中に、自社の業務を知り、ITやAIのリテラシーを持って、自分たちのためのデジタル化戦略を立てる人材や組織がいるかどうかです。
 特にAIは汎用性のある製品やサービスはほぼ存在しない状況ですので、技術のまったくわからない人では導入可否を正しく判断することは不可能です。こうした人材を来るべきデジタルトランスフォーメーション革命の時代に向け、自社の中に育てていく必要があるのではないでしょうか?

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